マイクロチップ 人間への危険性?技術の進歩と生活への影響を解説
「人間の体にマイクロチップを埋め込む」
と聞いて、あなたはどう感じるでしょうか。
「GPSで居場所を監視されるのでは?」
「個人情報を勝手に読み取られそう……」
「そもそも、人体への影響はないの?」
そんな不安を感じる方も多いかもしれません。
しかし、人間へのマイクロチップ埋め込みは、すでに海外で実例があります。
この記事では、人間にマイクロチップを埋め込むと何ができるのか、どのような危険性があるのかを、国内外の事例とともに解説します。
実は身近にあるマイクロチップ!ユニクロでも活用中
人間に埋め込むマイクロチップでは、RFID(Radio Frequency Identification)やNFC(Near Field Communication)などの技術が利用されています。
RFIDの身近な例は「ユニクロのセルフレジ」
RFIDをイメージするうえで分かりやすいのが、ユニクロのセルフレジです。
商品を一つずつバーコードに通していないのに、カゴを置くだけで複数の商品がまとめて読み取られて驚いたことはないでしょうか。
これは、商品に付けられたRFIDタグを電波によって読み取る仕組みです。
バーコードでは基本的に一つずつ読み取る必要がありますが、RFIDでは複数のタグをまとめて読み取ることもできます。
NFCの身近な例は「スマホをかざす」
NFCはRFIDを利用した通信技術の一種で、ごく近い距離で情報をやり取りすることに特化しています。
スマートフォンを対応機器へ「ピッ」とかざして情報をやり取りする場面を想像すると分かりやすいでしょう。
人間にマイクロチップを埋め込むとどうなる?メリットもあるがリスクもある
RFIDやNFCは決して未知の技術ではありません。「近づけたり、かざしたりすると情報を読み取れる技術」は、すでに私たちの日常生活に浸透しているのです。
人間へのマイクロチップ埋め込みでは、こうした仕組みを利用した小型チップを、手の親指と人差し指の間などの皮膚の下に埋め込むケースがあります。
なお、「マイクロチップを埋め込んだらGPSで常に追跡されるのでは?」と思うかもしれません。
しかし、一般的な埋め込み型RFID/NFCチップは、スマートフォンのようにGPSで現在地を送信し続けるものではありません。
基本的には、対応する読み取り機へ近づけることで情報をやり取りします。
人体に埋め込むとできることは?
マイクロチップを人体に埋め込むことで、例えば次のような使い方ができます。
- オフィスや自宅のドアを解錠する
- PCなどへのログインや本人確認に利用する
- 連絡先などの情報を読み取らせる
- 対応する機器やサービスと連携する
イメージとしては、社員証やICカードなどが持つ機能の一部を体の中に入れると考えると分かりやすいでしょう。
例えば現在は、会社に入るために社員証をカードリーダーへかざします。
社員証の代わりとなるチップが手に入っていれば、手をかざすだけでドアを解錠することも技術的には可能です。
カードのように忘れたり紛失したりする可能性が低く、「自分自身」が認証手段になることはメリットといえます。
一方、「技術的にできること」と「社会に普及すること」は別問題です。
体内に異物を入れることへの抵抗感もあり、技術が存在するからといって、すぐに社員証やICカードがマイクロチップへ置き換わるわけではありません。
プライバシーがさらされる危険性は?
人体へのマイクロチップ埋め込みで、特に気になるのがプライバシーです。
先ほど説明したとおり、一般的なRFID/NFCチップを埋め込んだだけで、24時間GPSのように居場所を追跡できるわけではありません。
しかし、プライバシー上のリスクがまったくないわけでもありません。
例えば、
- チップ内の情報を第三者に読み取られる
- 認証情報を不正利用される
- いつ・どこで利用したかという履歴がサービス側に残る
- 企業などから利用を事実上強制される
といった問題が考えられます。
特に重要なのは、チップそのものだけでなく、接続されるシステムまで含めて考えることです。
例えば社員証でも、「何時にオフィスへ入ったのか」という入退館履歴は会社側に残ります。
体内チップになっても、本質的には同じです。
問題は「マイクロチップ=監視される」と単純に考えることではなく、どの情報が取得され、誰が保有し、何の目的で利用するのかにあります。
AIなど他の新しい技術にも共通しますが、便利な技術ほど「何ができるか」と同時に「どのようなルールで使うか」を考える必要があります。
MRI撮影時への影響は?
もう一つ気になるのが、医療への影響です。
MRIでは強い磁場などを利用するため、「体内にマイクロチップが入っていても大丈夫なの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
MRIへの影響については、埋め込まれているチップの種類や材質、製品によって異なるため、一律に「安全」「危険」と判断することはできません。
体内にマイクロチップを埋め込んでいる場合は、MRI検査前に必ず医療機関へ申告し、製品情報などをもとに確認してもらう必要があります。
また、人体へ異物を埋め込む以上、MRI以外にも、
- 埋め込み時の感染
- 炎症
- チップの移動
- 除去する際の身体的負担
なども考慮する必要があります。
「小さなチップだから問題ない」と自己判断せず、医学的なリスクについても理解しておくことが重要です。
実際に海外や日本での事例は?日本でもペットの保護に活用
人間へのマイクロチップ埋め込みは、海外ではすでに実例があります。
特に知られているのがスウェーデンです。一部の人々が手の皮膚の下にマイクロチップを埋め込み、入退室などの認証に利用する事例が報じられてきました。
米国でも、企業が希望する従業員を対象にマイクロチップを埋め込み、社内での認証や決済などに利用する取り組みが行われた例があります。
ただし、ここで注意したいのは、「海外に事例がある=広く普及している」わけではないことです。
あくまで一部の企業や個人による導入事例であり、人間へのマイクロチップ埋め込みが日常生活のスタンダードになっているわけではありません。
一方、日本で身近なのが、犬や猫に装着するマイクロチップです。
ペットのマイクロチップには固有の識別番号が記録されており、データベースに登録された飼い主情報と照合することで、迷子になった犬や猫が保護された際などに飼い主を確認できます。
日本では2022年6月から、ブリーダーやペットショップなどが販売する犬・猫へのマイクロチップ装着が義務化されています。
つまり、生き物の体内に小型チップを埋め込み、個体識別に利用する技術そのものは、すでに私たちの生活に入ってきているのです。
ただし、人間への利用では、身体への影響だけでなく、プライバシーや本人同意、労働者への強制など、より複雑な問題が生じます。
だからこそ、「技術的に可能なのか?」だけでなく、「その技術を社会としてどこまで利用するのか?」まで考えることが重要なのではないでしょうか。
まとめ
人間にマイクロチップを埋め込む技術は、もはや完全なSFの世界ではありません。
RFIDやNFCを利用すれば、ドアの解錠や本人確認などに活用でき、海外では実際に体内へチップを埋め込んでいる人もいます。
しかも、その基礎となる技術は決して遠い存在ではありません。
ユニクロのセルフレジで商品をまとめて読み取るように、RFIDやNFCはすでに私たちの日常生活の中で利用されています。
一方、人間の体内へ埋め込むとなれば、
- プライバシーや情報管理
- セキュリティ
- MRIなど医療への影響
- 埋め込み・除去に伴う身体的リスク
- 本人の意思に反した利用
など、考えるべき課題もあります。
私は以前、ドラえもんのひみつ道具が現在のAIやロボット技術でどこまで実現できるのかを記事にした際、かつてSFで描かれていた技術が少しずつ現実になっていることに面白さを感じました。
AIやロボットがそうだったように、人間へのマイクロチップも「そんな未来が本当に来るの?」と思っていたものが、少しずつ現実に近づいています。
しかし、技術が進歩することと、私たちがその技術を受け入れることは別問題です。
便利だから使うのか。リスクを考えて使わないのか。それとも一定のルールを設けて利用するのか。新しい技術について知ることは、単に未来を予想することではありません。
これからどんな社会で暮らしたいのかを、自分たちで考えることでもあるのです。
人間へのマイクロチップ埋め込みは、海外ですでに活用事例があります。ドアの解錠や本人確認など生活を便利にする一方、プライバシーやセキュリティ、MRIなど人体への影響には注意が必要です。
「その技術を社会としてどこまで利用するのか?」まで考えることが重要です。
