パワポ職人としての人生を社内パワポ研修講師が考える!AI時代でもパワポ職人は生き残る?
パワポ職人を目指して資料作成スキルを磨いているけど、この先AIに仕事を奪われるのではないか。
AIの発展によって、PowerPoint資料が数分で作れる時代になりました。ChatGPTにテーマを伝えれば構成案が出てきますし、資料作成AIを使えばデザインまで整ったスライドが完成します。
そんな時代だからこそ、ふと不安になることがありますよね。
でも私は考えます。AIによって消えるのは「パワポを作る作業」であって、「パワポ職人」ではない、と。
そしてパワポ職人の価値は「相手に伝わる形に情報を整理し、良質なインプットを作る力」ではないのか、と。
今回は、AI時代におけるパワポ職人の価値について考えてみたいと思います。
私もかつて「パワポ職人」と呼ばれて重宝されていた
実は私自身、資料作成能力を評価していただいた経験があります。
今から4年ほど前、当時所属していた会社で作成した業務振り返り資料を役員に見ていただいた際、「分かりやすい」「そのままお客様に説明できる」と高く評価していただきました。
その後、研修の構成やゴールを全て自身で考えた『役員大絶賛!実務に役立つ資料作成のコツ』という社内勉強会の講師を担当することになりました。
参加者は約20名。1時間半にわたり、伝わる資料の作り方や構成の考え方についてお話ししました。
当時はまだ生成AIが一般的ではありませんでした。そのため、資料作成スキルそのものに高い価値がありました。
分かりやすい資料を作れる人は重宝され、パワポ職人と呼ばれる人たちが社内で頼られていました。
「PowerPointで資料を作る力」が一つの専門スキルとして評価されていた時代だったと思います。
伝えたいことを、相手に伝わる形に情報を整理できる人がパワポ職人
ところで、パワポ職人とは何なのでしょうか?
例えば、パワポで図形をきれいに並べること。フォントサイズを揃えること。色を整えること・・・。もちろん大切です。
ただ、それだけで良い資料が作れるわけではありません。
実際に私が研修で最も時間をかけて伝えていたのは、「PowerPointの使い方」ではなく、「資料を通して何を伝えたいのかを考えること」でした。
複雑な内容を一言で表現する。相手が理解しやすい順番に情報を並べる。説得力のあるデータを引用する・・・。こうした力があるからこそ、結果として分かりやすい資料が出来上がります。
つまり、本物のパワポ職人とはPowerPointが上手な人ではありません。
伝えたいことを、相手に伝わる形に情報を整理できる人がパワポ職人なのだと私は考えています。
AIはインプットなしに資料を作ることはできない
最近のAIは本当に優秀です。
構成作成、文章作成、図解作成。以前であれば数時間かかっていた作業も、今では数分で完成します。
私自身も日々AIを活用していますが、その進化には驚かされるばかりです。
ただ、使えば使うほど感じることがあります。
それは、AIはインプット以上のアウトプットを出せないということです。
例えば、「営業について資料を作って」という指示と、
「若手営業向けに、初回商談の成約率を上げるためのポイントを説明する資料を作って」という指示では、出てくる資料の質は大きく変わります。
AIは非常に優秀です。
しかし、誰に伝えるのか。何を伝えるのか。どんな行動を取ってほしいのか・・・。こうした前提条件が曖昧だと、アウトプットも曖昧になります。
つまり、AI時代になったことで、むしろ人間側の思考力がより重要になったとも言えるのです。
パワポ職人の価値は「相手に伝わる形に情報を整理し、良質なインプットを作る力」
私は今後、PowerPointを作成すること自体の価値は下がっていくと思っています。
これは避けられない流れでしょう。なぜなら、AIがどんどん代替できるようになるからです。
しかし、それはパワポ職人の価値がなくなることを意味しません。むしろ逆です。
これから価値が高まるのは、「相手に伝わる形に情報を整理し、良質なインプットを作れる人」です。
- 目的を整理する。
- 論点を整理する。
- 相手目線で考える。
- 伝わる言葉を選ぶ。
これらは、私が研修で伝えていた内容そのものです。
そして今になって思うのです。あの時教えていたのは、PowerPointのテクニックではなく、AI時代にも通用する思考力だったのではないか、と。
AIによって進化する世の中ではよく、「AIに仕事が奪われる」と言われます。
しかし私は、パワポ職人ほどAIの恩恵を受ける職種は少ないと思っています。
なぜなら、資料作成の本質を理解しているからです。
AIが作った資料を見て、「この順番の方が伝わる」「この言葉の方が分かりやすい」「この情報は削った方が良い」と判断できる。
これは単なるPowerPointスキルではありません。情報整理力や論理的思考力があるからこそできることです。
昔のパワポ職人は、自分の手で100枚の資料を作っていました。
これからのパワポ職人は、AIと協力しながら100枚分の価値を持つ資料を作るようになるでしょう。
役割が変わるだけで、本質は変わりません。
まとめ
4年前、私は『役員大絶賛!実務に役立つ資料作成のコツ』という研修で講師を務めました。当時は、分かりやすい資料を作るスキルそのものに大きな価値がありました。
しかし時代は変わりました。今ではAIが数分で資料を作れるようになっています。
それでも私は、パワポ職人の価値はなくならないと思っています。
なぜなら、本物のパワポ職人が磨いてきたのはPowerPointの操作技術ではなく、伝えたいことを相手に伝わる形に整理する力だからです。
AIは資料を作れます。でも、何を伝えるべきかまでは決めてくれません。
だからこそ、これからの時代に求められるのは「パワポを作る人」ではなく、「AIに良質なインプットを与えられる人」です。
昔は、パワポ職人といえば深夜までPowerPointと向き合う人だったかもしれません。
しかしこれからは、AIを使いこなしながら、相手に伝わる形を設計する人へと進化していくのでしょう。
パワポ職人の人生は終わらない。
むしろ、ここから新しいステージが始まるのだと思います。
